働く人の権利
労働者の権利は労働基準法などの法律で保障されていますが、これを守らない使用者も少なくありません。自分の権利を守るためにも、どういう権利が保障されているのか知っておくことは大切です。
労働基準法では採用時に使用者は、賃金、労働時間、その他一定の労働条件について、書面を交付してこれを労働者に明示しなければならないことになっています。これはパートタームの場合でも同じです。この法律に違反すると罰則もあります。労働者は自分の労働条件を確認することができます。また、就業規則についても、使用者にはこれを労働者に周知させる義務があります。
残業代請求
サービス残業は違法です。労働時間は、通常は就業規則で決められていますが、法律でその上限が1日8時間・週40時間と規定されています。これを超える時間外や休日の労働に対しては所定の割増賃金(残業手当)を支払わなければなりません。
違反には罰則もあります。割増賃金は、時間外及び深夜労働は通常賃金の2割5分増し(1か月の残業が60時間を超える部分は5割増し)、休日労働は3割5分増し、となっています。ただし、未払賃金請求権の時効は3年ですので注意が必要です。当事務所では残業代などを計算し、使用者に請求する業務も行っていますので、早めにご相談ください。
解雇無効の主張
解雇は自由ではなく、雇権濫用法理が法律で明文化されており、社会通念上相当と認められるような客観的に合理的な理由がなければ解雇できません。経営上の理由に基づく整理解雇の場合には整理解雇の4要件(解雇回避努力など)が必要とされています。また、解雇する場合には30日前の予告か予告手当の支払いが義務づけられています。
有期雇用の期間満了による雇い止めの場合であっても、契約期間を何度も更新して期待権が発生しているような場合には、解雇権濫用法理と同様の規定が適用され、雇い止めが無効とされます。
労災申請手続き
働く人の健康や安全を確保することは使用者の義務(安全配慮義務)です。
仕事中の事故によってケガや病気になったり死亡した場合には、労働基準監督署に労災申請をして一定の保障を受けることができますが、これは使用者に安全配慮義務違反の過失がない場合でも認められます。過失がある場合には、さらに使用者に民事の損害賠償を請求することもできます。
仕事中に発生したものではなくても、通勤途上に発生したものも労災となります。また過労死や、職場でのいじめ自殺、職場環境のアスベスト被害なども労災になります。労働実態や具体的な状況が問題となりますので、問題が発生したときには早めにご相談下さい。
過労死・過労自殺の場合
かつては脳梗塞や心筋梗塞を発症することによる過労死が多かったのですが、近年はうつ病による自殺が増えています。また単に長時間労働が原因ではなく、職場におけるストレスが原因で死に至る場合もあります。厚生労働省は「職場における心理的負荷評価表の見直しに関する検討会報告書」を出して、仕事の失敗、過重な責任の発生、仕事の量・質の変化など多くのストレスの原因を分析しています。
過労死・過労自殺の場合には、労災申請することができます。また使用者も安全配慮義務の法的責任を負うので使用者に対して損害賠償請求することもできます。
いずれにしろ職場の状況、働かせ方などが問題になるので、弁護士など専門家に相談した方が良いでしょう。なお公務員労働者については申請の方法などが民間労働者とは異なりますので、ご注意下さい。
じん肺・アスベスト疾患による被害
トンネルや鉱山、瀬戸物工場など粉じんが大量に発生する職場において、粉じんを吸入した労働者がじん肺により働けなくなったり、ついには死亡するという社会問題があります。
2005年からは、アスベスト被害の患者も多くなっています。アスベスト(石綿)は多方面で利用されているので、自分がアスベストに関係する仕事をしていたことにも気がつかない場合もあります。またアスベスト曝露は労働者に限らず、労働者の家族や石綿を扱う工場の近隣住民にも及んでいます。従って、肺がんなど肺疾患に罹患した場合にはまずアスベスト曝露を疑って下さい。
アスベスト疾患が疑われた場合に、職歴や生育歴など調査することが必要ですので、弁護士に依頼して職歴や病歴を調査するなどして、労災申請や企業に対する損害賠償請求、または石綿救済法による申請や加害企業に対する損害賠償請求などを行うことができます。
アスベスト・じん肺被害救済東海弁護団
この弁護団は2005年9月に創設され,現在。愛知県。岐阜県、三重県の弁護士約20名が所属しています。
平成26年(2014年)10月の、大阪泉南地方での最高裁判決を受け、国に対する損害賠償請求が可能になりました。また令和3年(2021年)5月の建設アスベスト最高裁判決及びその後の基本合意にもとづき,国に対して建設アスベスト給付金を請求できるようになりました。当事務所も、このような国に対する請求手続きを行っておりますが、この東海弁護団でも行っていますので、ぜひサイトをご覧下さい。
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