カチューシャといえば、私の青春時代に良く歌われた親しみ易い曲である。
全体の印象は、ゆっくりして、暖かみがあり、ほのぼのとした感じがした。
1 りんごの花ほころび 川面に霞たち
君なき里にも 春はしのびよりぬ
君なき里にも 春はしのびよりぬ
2 岸辺に立ちて歌う カチューシャの歌
春風やさしくふき 夢がわくみ空よ
春風やさしくふき 夢がわくみ空よ
3 カチューシャの歌声 はるかに丘をこえ
今なお君をたずねて やさしその歌声
今なお君をたずねて やさしその歌声
4 りんごの花ほころび 川面に霞たち
君なき里にも 春はしのびよりぬ
君なき里にも 春はしのびよりぬ
ところが大学でロシア語の教科書(白水社)をみて、そして歌を聴いたところ、まったくイメージが違っていたので、とても驚いた。つまり、テンポはとても速く、明るく力強い歌声だった。
これは要するに、単に遠距離恋愛の歌ではなく、遠く離れて戦地で闘う人を思う歌であり、励ます歌だった。カチューシャとは「エカテリーナ」という女性の名前の愛称で「カーチャ」ともいうらしい。1938年、イサコフスキー作詞、ブランデル作曲。
1,Расцветали яблони и груши,
Поплыли туманы над рекой.
Выходила на берег Катюша,
На высокий берег на крутой.
2,Выходила, песню заводила
Про степного, сизого орла,
Про того, которого любила,
Про того, чьи письма берегла.
3,Ой ты, песня, песенка девичья,
Ты лети за ясным солнцем вслед.
И бойцу на дальнем пограничье
От Катюши передай привет.
4,Пусть он вспомнит девушку простую,
Пусть услышит, как она поет,
Пусть он землю бережет родную,
А любовь Катюша сбережет.
このロシア語の日本語訳を見つけたので、引用します。
1,リンゴとナシが花開き 川面を霧が流れだす
岸に出てきたのはカチューシャ 高く険しい川岸に
2,そぞろ歩きにたずさう歌は 草原の蒼き鷲の歌
それは娘が愛する人、 大切な手紙をくれる人
3,ああ歌よ、娘の歌よ、飛んで行け、輝く太陽について
遠き国境に立つ戦士へと カチューシャの挨拶を届けておくれ
4,素朴な娘を、戦士が思い起こすように 娘の歌が届くように
彼が故郷の土地を守り、カチューシャが愛を守り通すように
このロシアの歌が、イタリアではなんとパルチザンの歌になった。
1,Fischia il vento, infuria la bufera,
scarpe rotte eppur bisogna andar,
a conquistare la rossa primavera
dove sorge il sol dell'avvenir.
2,Ogni contrada e patria del ribelle,
ogni donna a lui dona un sospir,
nella notte lo guidano le stelle
forte il cuore e il braccio nel colpir.
3,Se ci coglie la crudele morte,
dura vendetta verra dal partigian;
ormai sicura e gia la dura sorte
del fascista vile traditor.
4,Cessa il vento, calma e la bufera,
torna a casa il fiero partigian,
sventolando la rossa sua bandiera;
vittoriosi e alfin liberi siam.
このイタリア語の歌を日本語に翻訳してみると、次のようになる。(誤訳があると思うので、見つけたら教えて下さい)
1,風は音を立てて吹きすさび、嵐は荒れ狂う
破れた靴でも、進まなければならない
赤い春を勝ち取るために
そこには未来の太陽が昇るだろう
2,如何なる町も、我々抵抗している人々の故郷のようだ
如何なる女性もその戦士には感嘆のため息をしている
夜には、たくさんの星が彼を導く
心と闘う腕は強い
3,残酷な死が私達を掴んだのなら
激しい復讐がパルチザンから行われるだろう
今や厳しい運命だということははっきりしている
卑怯な裏切り者のファシストにとっては
4,風が止み、嵐は静まる
誇りあるパルチザンは家に帰る
自分の赤い旗を振りながら
我らは勝利者となり、ついには自由になる
美しいメロディーは,国境を越えて愛され、そのときどきの時代の要請により歌詞も変化し多様化するのでしょう。