1. E quando spunta, quando spunterà la luna, avrò per sempre dimenticato. Sarò di un altro innamorata

今度、月が昇るときには、私は永久にあなたを忘れているでしょう、そして他の男性の恋人になっているでしょう。

「これは、1964年にun buco nella sabbia として発表された歌で、イタリアのミーナが歌ったんだ。1965年には日本語の歌詞が作られて、題名も『砂に消えた涙』として日本ではとてもヒットした。特にミーナも日本に来て、しかも日本語でこの歌を歌ったと言うことで、評判になったんだよ。」
「日本語の歌詞は、『青い月の光を浴びながら私は砂の中に愛の形見をみんなうずめて、泣いたの、ひとりっきりで』という情緒的なものだけど、日本人には情景、例えば海の砂浜だとか、夜で青く月が輝いていたとか、が想像しやすし、何よりも曲が良いよね。弘田三枝子とか、ザ・ピーナッツとか多くの歌手がカバーしているね。」
「そうなんだけど、イタリア語の歌詞は、日本語とずいぶん違っていると思うよ。
標題にあるように、『私は、あなたなんか永久に忘れて、新しく恋人をつくっているはずよ』とか、『あなたは、私がここに泣くために来るんじゃないかと、思っているでしょうけど、残念ね、再びあなたの元に戻ることはないのよ!』とかいう意味で、結構強気なんだよ。」
「しかも、『泣きながら埋めた』のではなく、『過去に流した涙を埋めた』のだから、砂に思い出を埋めているときには、すでに涙は乾いていたんだね。」
「そうなんだ。やっぱりイタリアの女性は心の切り替えが早くて、強いね!
なお、イタリア語の歌詞を紹介しておくね。訳したのは私だから、間違っていたらごめんなさい。
 Ho fatto un buco nella sabbia per nascondere
 tutto quello che ho nel cuore per te.
 Ci ho messo dentro tutte quante le mie lacrime
 e le bugie che inventavi per me.
 (私は、砂の穴の中に隠したの、私の心にあった全部を)
 (私のたくさんの涙とあなたが私のために発明した嘘をね)
 E quando spunta, quando spunterà la luna,
 avrò per sempre dimenticato.
 E quando spunta, quando spunterà la luna,
 sarò di un altro innamorata.
 (月が昇るとき私は永久に忘れているでしょう)
 (月が昇るとき私は別の男性の恋人になっているでしょう)
 Farai un buco nella sabbia per nascondere
 la delusione che ora provi per me.
 Credevi forse che sarei venuta a piangere,
 e invece non tornerò più da te.
(あなたは砂に穴を掘るでしょう。今、私に感じている失望を隠すために)
(あなたは私が泣きに来ると多分思っているけど、それどころか、あなたの元に戻るなんてしないわ!)」
「ちなみに、ここにでてくる単語をみると女性か男性か分かるよね。innamorataということは女性の恋人の意味だし、sarei venuta とあるので女性が主語だね。イタリア語はこうやって性の区別を付けているんだから、日本人も気をつけないといけないね。」

  1. Ventiquattro mila baci

24000回のキス

「この歌も日本では有名だね。この歌は、1961年のサンレモ音楽祭で2位になった曲で、アドリアーノ・チェレンターノが歌っていたという。リズム感があって、踊りながら歌えるノリの良い曲だ。日本でも日本語の歌詞が付けられて流行したよ。」
「ところで、この24000回ってどうやって計算するのか、という疑問を日本人はもったのだよ、つまり、日本語の歌詞では『1秒のキスを1日続けたら24000回』という歌詞になっているので、この計算はおかしい、という意見がでてきたんだ。」
「それは、イタリア語の歌詞を読まないといけないんだよ。
 Amami! Ti voglio bene!
(僕を愛して、君を愛している)
 Con 24000 baci. Oggi saprai perché l'amore, Vuole ogni istante mille baci
 Mille carezze vuole all'ora
(24000回のキスで今ぼくはわかった、なぜ恋には、いつも1000回のキスが、1時間に1000回の愛撫が必要なのか)
 Con 24000 baci. Felici corrono le ore
 D'un giorno splendido perché   Ogni secondo bacio te
(24000回のキス、幸福な時間が流れる、1日中輝く、だって毎秒君にキスするから)
 Niente bugie meravigliose Frasi d'amore appassionate
 Ma solo baci chiedo a te Ye ye ye ye ye ye ye ye!
(すてきな嘘はいらない、情熱的な愛の言葉もいらない。ただキスだけがほしいイエイエ・・・)
 Con 24000 baciCos? frenetico ? l'amore
 In questo giorno di folliaOgni minuto ? tutto mio
(24000回のキスで、恋は燃え上がる。この狂った日々にすべての時間がぼくのもの)」
「分かった、つまり、1秒に1回のキスという表現の箇所と1時間に1000回のキスという2つの表現があるから、分かりにくいんだね。でも、1時間に1000回だと考えれば、1日は24時間だから、24000回のキスになるんだね。
でも1時間に1000回キスをするということにしても、60分に1000回ということだから、1分に16回になる。それだって、唇が腫れるくらいに凄い回数だね。
ああ、イタリア人って、キスが好きなんだね。」
「そういえば、イタリアにはBACIというチョコもあるしね!」
「それと、secondo(秒)、minuto(分)、ore(時間)、giorno(日)、istante(瞬間)などの時間に関する単語が出てくるから、日本人にとっては、学習の良い機会になるね」
「そういうことを言うから、イタリア語の勉強が面倒になるんだよ!」

  1. Il cuore matto che ti vuole bene, Il cuore matto, matto da legare

あなたを好きな僕の狂ったハート、異常なほど狂ったハート

「この歌は、1967年の第17回サンレモ音楽祭で入賞した曲で、題は『cuorematto(狂ったハート)』という。歌手はリトル・トニー。まるで心臓の鼓動のようにドラムのような低音のリズムがずっと鳴り続けていて、ドクドクというビートが体の奥で永遠に続くようだ。」
「イタリア語の歌詞を紹介するね。これも私の訳だから間違っていたらごめんなさい。
Il cuore matto che ti segue ancora, E giorno e notte pensa solo a te
E non riesco a fargli mai capire, Che tu vuoi bene a un altro e non a me.
(君をまだ追いかけている、夜も昼も君だけのことを考えている狂ったハート)
(君が僕ではなくて他の男を好きになっているということを、僕は狂ったハートに理解させることができない)
Il cuore matto, matto da legare, Che crede ancora che tu pensi a me
Non è convinto che sei andata via, Che mi hai lasciato e non ritornerai!
(狂ったハート、異常なほど狂ったハート。君が僕を思ってくれているとまだ信じたい。)
(君が去ってしまったこと、君が僕を捨てて、もう戻らないことを納得できない)
Dimmi la verità, la verità, E forse capirà, capirà
Perché la verità tu non l'hai detta mai.
(僕に本当のことを言って、多分分かるだろう)
(だって、君は真実を決して言わなかった)
Il cuore matto che ti vuole bene, E ti perdona tutto quel che fai
Ma prima o poi lo sai che guarirà, Lo perderai, così lo perderai.
(君を好きだという狂ったハート、君がしてきた全部のことを許すよ。)
(いずれにしろ狂ったハートは癒える、ということを君は知っている。君は僕の心を失うだろう)
Dimmi la verità, la verità, E forse capirà, capirà
Perché la verità tu non l'hai detta mai. 

ただ、サイトによっては、il cuoreとun cuoreの2種類あるし、dimmiとdigliとなっているのもあって、正確な歌詞は良く分からないんだ。
それにmatto da legare という意味も直訳では難しい。イタリア人に聞いたところ、イタリアでは昔、精神障害者が凄く暴れるとベッドに縛り付けたそうだ。その時に、(異常なほど狂っている場合には縛り付ける)という習慣ができたらしい。だからmatto da legareとは、縛ることが必要なほど暴れ狂っている、という意味の慣用句だね。もちろん、今はバザーリア法ができて、このようなことはないんだよ。良く似た言葉にpazzo da legareというものあるよ。」
「なるほど、一つの言葉には歴史的な意味があるんだね。それに、この歌詞は難しい。
Tuが自分を振った女性だということは分かるけど、主語が狂ったハート(cuore matto)なのか、自分(io)なのか、ときどき分からないところがあるね。」
「まあ、でもそういう細かいことは無視して歌を楽しもうよ!」